大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(ネ)339号 判決

而して賃借人たる控訴人が自己の雇人である山崎博司らをして賃借物たる本件建物の一部に宿泊させている場合には、右山崎博司らは使用者たる控訴人の履行補助者として賃借物を保管している関係にあるものというべきところ、右履行補助者たる山崎博司の過失により右賃借物を火災にかからしめ、その結果右賃借物の返還義務を履行することができなくなつたのであるから、使用者たる控訴人は自己の過失に基づく場合と同様に、賃貸人たる被控訴人に対し右賃借物返還義務の履行不能による損害賠償をなすべき義務がある。ところで本件のようなその部屋だけが構造上独立して存在し得ない共同住宅の部屋の賃貸借の場合には、火災による右賃借物返還義務の履行不能による損害賠償としては、当該賃借部屋のみに限られず、これを維持存立せしめる上において不可分の一体をなす隣接の部屋、廊下等の部分その他階下の部分に対する損害についてもその賠償をなすべき義務あるものと解するのが相当である。而して前掲各証拠並びに当審における被控訴本人の尋問の結果とこれによりその成立が認められる甲第八号証の記載によれば、本件建物は、当事者間に争のない二階東側の四畳半の一室を除き、火災または消火による水びたしなどの被害を受け、金七十六万七千七十円相当の損害を蒙つたことが認められ、他に右認定を覆すに足りる確証はない。

(奥野 野本 萩原)

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